病態・特徴
眼の中には「網膜」という、光を感じるスクリーン状の組織があります。
網膜の中心部は「黄斑部」と呼ばれ、「視細胞」という、光を感知する細胞が一番集まっています。
黄斑上膜は、この「黄斑」の上にセロファン状の薄い膜(後部硝子体皮質というものが、半透明の膜状の組織になったもの)が張ってしまう病気です。「黄斑」の「上」に「膜」が張るので、「黄斑上膜」と言い、「網膜前膜」とも呼ばれます。
膜が張ってしまったことにより、黄斑部に光が届かず、「視力が低下」します。
また、進行すると、黄斑部が引っ張られることで「視界の歪み」などの症状が起こります。
網膜の病気の中では発症率が高く、40歳以上の20人に1人程度がなるとされる病気です。
傾向として、50歳以上の女性に多く、中には近視の強い人で若いうちから発症することもあります。
黄斑上膜はゆっくりと進行していく病気で、自然治癒する場合もありますが、割合としては5%程度と非常に少ないです。
図1. 正常な網膜 (OCTスキャン)
図2. 網膜前膜 (黄斑上膜)のを認め、黄斑部が牽引されている (OCTスキャン)
図3. 網膜前膜を認める眼底写真
治療・予後
黄斑上膜は発症したからといって、すべて見え方に影響するわけではなく、自覚症状のない症例も多く見られます。
適切なタイミングで手術を行うことで、症状を改善させることができる可能性があります。
治療としては、点眼薬では改善しないので、手術となります。
手術は「硝子体手術」という、専門性の高い手術が必要です。
時には入院の必要もある種類の手術になるため、当院では適切な関連施設にご紹介を行なっております。
手術適応のない方も、数ヶ月に1回の検診で、進行具合を確かめる、経過観察が必要となります。