視神経乳頭陥凹拡大optic disc supping

病態/特徴

視神経乳頭陥凹拡大とは視神経乳頭の中央部分が拡大して眼底検査でC/D比の上昇として認められる状態を指し、最も代表的な原因は緑内障による視神経線維の減少ですが、高眼圧を伴わない正常眼圧緑内障でも同様の陥凹拡大が生じることがあります。陥凹が進行すると神経線維の損傷が広がるため、早期発見と適切な評価が極めて重要です。近年の研究では光干渉断層計(OCT)を用いて網膜神経線維層厚みを定量的に解析することで、緑内障性の変化や視神経周辺部の構造的異常を高精度に検出可能となっています。

症状

初期では自覚症状がほとんどなく視野異常もわずかであるため、視神経乳頭陥凹拡大に本人が気づくことは少ないのですが、進行すると見えにくさを感じるほか、視野が狭くなり物が欠けて見えるといった自覚症状が現れ、さらに高度に進行すると日常生活に支障が出るほどの視野欠損を伴うこともあります。

原因

視神経乳頭の陥凹が拡大する原因として緑内障があり、眼圧が高い場合はより急速に進行するリスクがありますが、正常眼圧の場合でも血流障害や個体差などの要因によって神経線維が減少することで徐々に陥凹が進むことがあります。まれに先天的な解剖学的特徴によって生まれつき視神経乳頭が大きく陥凹している場合がありますが、こうした先天的な例を除けば通常は緑内障が主な原因となります。

検査/診断

視神経乳頭陥凹拡大の疑いがある場合はまず眼底検査で視神経乳頭の形態を観察し、C/D比を測定し、隅角検査や眼圧測定を行い、緑内障の有無や病型(開放隅角緑内障や閉塞隅角緑内障、正常眼圧緑内障など)を判別します。さらに光干渉断層計(OCT)で網膜神経線維層の厚みを評価し、視野検査(ハンフリー視野計など)によって進行度や視野欠損パターンを把握します。

治療

原疾患が緑内障である場合は、薬物療法やレーザー治療、手術などにより眼圧を適正にコントロールし、神経線維のさらなる損傷を防ぐことが基本となります。

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記事の監修者

清水 映輔

理事長

清水 映輔

保有資格

  • 日本眼科学会認定眼科専門医
  • 医学博士 (慶應義塾大学)
  • 難病指定医
  • 身体障害者指定医