まぶたの手術Eyelid surgeries

まぶたの手術について

手術が必要なまぶたの病気として、眼瞼下垂(がんけんかすい)、眼瞼内反症(さかまつげ)、眼瞼腫瘍などがあります。手術は局所麻酔で行うため全て日帰りで、保険診療で受けていただくことができます。

まぶたの手術は美容外科のイメージが強いですが、当院では、局所麻酔での手術が安全にできるご年齢でしたら、保険での手術が可能です(お子様は全身麻酔が必要なため、大きい病院へご紹介する場合があります)。手術適応については症状と医師の判断になりますので、お若い方もご高齢の方も一度ご相談ください。当院で行っているまぶた(眼瞼)の手術は下記です。

  1. 眼瞼下垂症
  2. 眼瞼内反症(逆さまつ毛)
  3. 眼瞼腫瘍

眼瞼下垂症

眼瞼下垂症とは

眼瞼下垂とは、上まぶたが垂れ下がってきて目を覆うようになってしまった状態のことをいいます。
まぶたが下垂していると、おでこの筋肉を使って開眼しようとするため、おでこに横じわが見られたり、頭痛や肩こりの要因にもなります。まぶたが重い、二重の幅が広くなってきた、視界が狭いなどの症状がある方は一度当院にご相談ください。

眼瞼下垂は様々な原因で発生しますが大きく分けて3つの理由が考えられます。

  1. まぶたの機能に問題がある(まぶたの筋肉が弱ることが原因)
  2. まぶたの機能には問題が無いが見た目のバランスが悪い(まぶたの皮膚がたるんでいることが原因)
  3. まぶた自体には問題が無いのに神経系に問題がある(重症筋無力症などの神経疾患によるもの)

1,2は当院で日帰り手術が可能ですが、3の場合は大学病院などにご紹介させていただき精密検査が必要になります。

眼瞼下垂の医学的診断基準は、MRD-1による程度分類と、拳筋機能の測定で行います。

MDR(角膜反射と上眼瞼縁の距離)の基準

正常2.7㎜以上
軽度下垂1.5㎜~2.7㎜(意識して眼を開けたら瞳孔が隠れなくなる)
中等度下垂0.5㎜~1.5㎜(意識的に眼を開けても瞳孔の上側の縁が一部隠れる)
重度下垂0.5㎜以下(頑張って眼を開けても瞳孔が半分以上隠れる)

眼瞼下垂は眼科で受診するのがおすすめ

最近まぶたが重い気がする、少しまぶたが下がって目つきが鋭くなった等と思われる方は眼瞼下垂が疑われます。しかし、単にまぶたが下がってきたからといって、眼瞼下垂ではなく他の病気(内科的・神経内科的)が隠れている場合もあります。

また、眼瞼下垂という診断のもと手術をする場合にはドライアイではないか、黒目の部分に傷が無いかなど、手術後に不都合なことが起こらないように確認しておくことは重要なことです。そのため、まずは眼瞼下垂に詳しい眼科を受診するのがおすすめです。

眼瞼下垂症の治療方法

一般的に、中学生以上であればほとんどの場合、局所麻酔での日帰り手術が可能です。手術時間は1時間から2時間弱、仰向けの姿勢で行います。下垂の程度に応じて、軽度から中等度の場合には挙筋腱膜前転法やミューラ筋タッキングなどが行われます。重度の場合には眼瞼挙筋短縮術または前頭筋吊り上げ術が選択されることがあります。

眼瞼下垂症の費用(術式によって変わります)

健康保険
1割負担(両目)約15,000円~17,000円
3割負担(両目)約46,000円~55,000円

眼瞼内反症(逆さまつ毛)

眼瞼内反症とは

眼瞼内反症(内反症)とは、通常外側に向いているはずのまつ毛が眼球に触れてしまう状態です。この状態になると、眼の表面に傷がつく恐れがあります(角膜や結膜)。定期的にまつ毛を抜いても根本的な解決にはならないため、手術をおすすめします。眼瞼内反、睫毛内反、睫毛乱生などのいくつかのタイプがあり、それぞれに適した手術治療が行われます。

眼瞼内反症の治療方法

眼瞼内反症の治療方法

当院では、水平方向と垂直方向の両方を矯正できる切開法(Jones変法、Lateral ltarsal strip法)を併用しています。この方法は再発率が約0.4%程度で、再発の少ない方法とされています。手術は片側で約20分程度で行います。

睫毛内反症の治療方法

軽度の症例には思春期以降に局所麻酔での手術が施行されます。軽度の場合には埋没法が行われ、中等度あるいは重度の場合には切開法(Hotz変法)が選択されます。

眼瞼内反症の費用

健康保険
1割負担(片目)約7,000円
3割負担(片目)約20,000円

眼瞼腫瘍

眼瞼腫瘍とは

まぶたは様々な腫瘍ができやすい部位です。まぶたにできる腫瘍は、良性と悪性の両方があります。良性腫瘍である場合が多いですが、ひどくなったり悪性の可能性が高い場合は手術が必要になります。

腫瘍の種類

  • 麦粒腫(ものもらい)
  • 霰粒腫
  • 脂漏性角化症
  • 母斑(ほくろ)
  • 基底細胞癌
  • 扁平上皮癌
  • 脂腺癌
  • メルケル細胞癌

眼瞼腫瘍

眼瞼腫瘍の治療方法

まずは症状が「ものもらい」であるかどうかを判断します。ものもらいであれば、抗生剤やステロイドの点眼や軟膏で治療します。しかし、癌が疑われる場合は、周囲のまぶたの組織と腫瘍を含めて切除する手術が必要です。このような手術にはまぶたの再建術が含まれることがあります。さらに、放射線治療が必要な場合もありますので、必要な場合は大学病院をご紹介させていただきます。

記事の監修者

清水 映輔

理事長

清水 映輔

保有資格

  • 日本眼科学会認定眼科専門医
  • 医学博士 (慶應義塾大学)
  • 難病指定医
  • 身体障害者指定医